結論精製方法は、収穫したコーヒーの実から生豆を取り出すやり方の違いです。実の果肉や粘液をどうするかで、ナチュラル・ウォッシュド・ハニーに分かれます。味の違いは「傾向」で、言い切れません。袋に書く義務は、規約の必要な表示事項に挙がっていません。初心者は、生産国と焙煎度を見てから、好みが分かってきたら精製方法を見れば十分です。
精製とは
焙煎する前の豆を「生豆(なままめ)」と呼びます。UCC は収穫したコーヒーの実の外側の部分を取り除き、生豆の状態にする工程を「精製」としています。
同じ工程を、AGF は「精選」と書いています。呼び方は資料で違いますが、指しているものは同じです。この記事では「精製」と書きます。
3 つの違い
| 方法 | 乾燥の前にすること | ほかの呼び方 |
|---|---|---|
| ナチュラル | 実のまま乾燥する。果肉も粘液層も付いている | 非水洗式・アンウォッシュド・ドライ |
| ウォッシュド | 果肉を取り、粘液質も水洗いなどで取ってから乾燥する | 水洗式 |
| ハニー | 果肉を取り、粘液層を残す量を調整して乾燥する | ハニープロセス |
ナチュラルとウォッシュドの定義は UCC の用語辞典です。ハニーは、UCC が「粘液層(ミューシレージ)の除去率を機械で調整すること」と説明しています。

乾かし始めるときに、種のまわりに何が残っているか。左から、ナチュラル・ウォッシュド・ハニー(説明用のイラスト)
AGF はナチュラルを「自然乾燥法」、ウォッシュドを「水洗処理法」と書いています。店で「ナチュラル」「ウォッシュド」と書いてある豆は、それぞれの方法で作った豆だとしています。
AGF の水洗処理法は皮を剥いた豆を水を張ったプールに一晩置き、酵素の働きで果肉を分解してから洗い流す、という流れです。水の管理が悪いと、雑菌や発酵のにおいが付くとも書いています。
ハニーの呼び分け
UCC は、粘液層は「ミエル」(スペイン語でハチミツ)とも呼ばれ、それが名前の由来だと書いています。除去率で、次のように呼び分けます。
| 呼び名 | 粘液層の除去率 |
|---|---|
| ブラックハニー | 0% |
| レッドハニー | 〜25% |
| イエローハニー | 50% |
| ゴールデンハニー | 75〜85% |
| ホワイトハニー | 90% |
UCC は粘液層を残すほど、濃く、ふくよかな甘みを感じやすくなると言われている、と書いています。
ハニーの呼び名と、粘液層の除去率
数字が小さいほど、粘液層が多く残る。UCC のコーヒー用語辞典(ハニープロセス)から作った図。
味はどう変わるか
キーコーヒーは一般的に、水洗式はクリアでマイルドに、非水洗式はフルーティーでコクのある味わいになるとされている、と書いています。ここは「一般的に」「とされています」という言い方です。
研究では、同じ農園・ロット・収穫のカトゥーラ種を 3 つの方法で精製して比べた論文があります。3 人の評価者の合意で、ウォッシュドは「バランスがよく心地よい」、ナチュラルは「香りが強く、ワインのような香り」、ハニーは「酸味が高く、甘みと柑橘の表現」と書かれました。
ただ、ほかの研究では書き方が違います。
- 中国の研究は、湿式のほうがクリーンさが高く、甘みは乾式より低かったと書いています
- インドネシア(ジャワ)の研究は、水を多く使う発酵と管理した機械乾燥のほうが欠点が少なく良い、と書いています。一方で、精製ごとに固有の個性があり、品質が管理されていれば市場があるとも書いています
ハニーの味も、UCC は「甘み」、カトゥーラ種の論文は「酸味と甘み、柑橘」と、資料で言い方が違います。
分かるのは、次のことです。精製方法で味の傾向は変わる。ただし、品種・産地・評価者・乾燥の方法で結果の書き方が変わるので、「ナチュラルなら必ずフルーティー」とは言えません。
キーコーヒーの産地表でも、非水洗式のブラジルは「甘み、柔らかな苦みと適度な酸味」と書かれていて、「フルーティー」とは書かれていません。非水洗式のエチオピアとイエメンには「フルーティーな甘い香り」が書かれています。
AGF は、ナチュラルで天気が悪いと、一部が発酵したり黒く変色したりして、土味が付くリスクもあると書いています。

精製だけでは決まらない
ある総説は、コーヒーの風味は、豆の種類、産地、気候、栽培方法、加工の条件に左右される、と書いています。焙煎についても、AGF は、産地と焙煎方法の組み合わせで風味のバリエーションは非常に多くなる、と書いています。
関連する記事はこちらです。
- 産地:「コーヒー豆の産地と味の違い」
- 品種:「アラビカ種とロブスタ種の違い」
- 焙煎度:「浅煎り・中煎り・深煎りの違い」
精製の影響が産地や品種より大きいか小さいかを比べた原文は、取得できませんでした。分からないことは分からないと書きます。
嫌気発酵などの新しい方法
精製の過程で発酵を加えた「嫌気発酵コーヒー」もあります。UCC は、温度や湿度、熟成時間で風味が大きく変わるため、手作業の丁寧な管理が必要だと書いています。この記事では紹介にとどめます。
袋で見るとき
全日本コーヒー公正取引協議会の規約が決めている必要な表示事項は、品名または名称、原材料名(生豆生産国名を含む)、内容量、賞味期限などです。編集部が一覧を確認した限り、精製方法は挙がっていません。
だから、精製方法が書いてあるかは商品しだいです。書いてあれば、次のように読みます(編集部の提案)。
| 袋の言葉 | 読み方 |
|---|---|
| ウォッシュド(水洗式) | 果肉と粘液を取ってから乾燥した豆 |
| ナチュラル(非水洗式) | 果肉ごと乾燥した豆 |
| ハニー | 粘液を残して乾燥した豆。除去率で呼び名が違う |
初心者はまず生産国名と焙煎度を見ます。そのうえで、好みが分かってきたら、精製方法で絞ります。
書き手の場合
書き手は精製方法を比べて飲んだことがありません。味の感想は書けません。
まとめ
- 精製は実から生豆を取り出す工程。ナチュラルは果肉ごと、ウォッシュドは果肉と粘液を除く、ハニーは粘液を残す量を調整する
- 味の違いは傾向で、「ナチュラルなら必ずフルーティー」とは言えない。袋に書く義務はないので、まず生産国と焙煎度から見る
次に読む
- 袋の読み方 →「コーヒー豆の買い方」
- 焙煎度の違い →「浅煎り・中煎り・深煎りの違い」
- 豆の組み合わせ →「ブレンドとストレートの違い」
出典・確認した資料
- UCC「精製」「ウォッシュド」「ナチュラルプロセス」「ハニープロセス」「非水洗式」「嫌気発酵コーヒー」(コーヒー用語辞典。定義・除去率・ほかの呼び方)https://www.ucc.co.jp/enjoy/encyclopedia/dictionary/refining.html ほか同じ辞典の各項目 (2026-11-04 確認)
- AGF「コーヒーができるまで」(精選処理の 2 つの方法・水洗処理法の工程・ナチュラルのリスク・焙煎との組み合わせ)https://agf.ajinomoto.co.jp/enjoy/cyclopedia/flow/atoz_03.html (2026-11-04 確認)
- キーコーヒー「コーヒーの産地による違いはある?エリアごとの特徴」(水洗式・非水洗式の一般的な味・産地の例。2025-12-26 公開)https://www.keycoffee.co.jp/experience/knowledge/detail/coffee-production-area (2026-11-04 確認)
- 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」施行規則(必要な表示事項)https://www.jfftc.org/DATA/Kiyaku_pdf/b05_H_coffee.pdf (2026-11-04 確認)
- Ormaza Zapata ほか(2026)「Antioxidant and sensory profiles of Coffea arabica var. Caturra under Washed, Natural, and Honey processing」Revista Facultad Nacional de Agronomía Medellín 79, e125376 https://revistas.unal.edu.co/index.php/refame/article/view/125376 (2026-11-04 確認)
- Sunarharum ほか「Effect of different post-harvest processing on the sensory profile of Java Arabica coffee」AFSSAAE https://afssaae.ub.ac.id/index.php/afssaae/article/view/2/0 (2026-11-04 確認)
- Fu ほか(2026)「Metabolome analysis of processing methods regulating flavor precursors in Arabica coffee beans and correlation with sensory attributes」Beverage Plant Research 6, e029 https://doi.org/10.48130/bpr-0026-0010 (2026-11-04 確認)
- Elmacı「An overview of coffee flavour: Influence of process, composition and sensory properties」https://jfng.toros.edu.tr/index.php/jfng/article/view/2672 (2026-11-04 確認)
