エスプレッソとは|ドリップとの違い

クレマの浮いたエスプレッソの小さな白いカップとスプーンの写真風のイメージ

結論エスプレッソは、極細挽きの粉に約 9 気圧の圧力をかけ、20〜30 秒で 25〜35 ml を一気に取り出す、量の少ない濃いコーヒーです(UCC)。ドリップは圧力をかけず、お湯が粉を通って落ちる間に、2〜4 分ほどかけて淹れます(ドトール)。家でエスプレッソを飲むには圧力をかける機械が要ります。火にかける直火式は、濃いコーヒーは作れても、表面の細かい泡(クレマ)はできません(UCC)。

この記事は、エスプレッソとドリップの違いを知りたい人に向けて書きました。書き手はエスプレッソマシンを持っておらず、この記事のために飲み比べもしていません。数字と説明は、メーカーとイタリアの団体が公開している情報から引いています。味の感想は書いていません。

ミルクを合わせた飲み物(カフェラテ・カプチーノ)の違いは「カフェオレ・カフェラテ・カプチーノの違い」に、ドリップという言葉の意味は「ドリップコーヒーとは」にあります。

目次

ドリップとの違いは圧力と量

エスプレッソ と ドリップ

エスプレッソ と ドリップ抽出の仕組みエスプレッソ:圧力をかけて短時間ドリップ:お湯の重みで落とす圧力エスプレッソ:約 9 気圧ドリップ:かけない挽き目エスプレッソ:極細挽きドリップ:細挽き〜粗挽き

エスプレッソはイタリア生まれのコーヒーで、名前はイタリア語の「急行」という意味から来ています(UCC)。

項目エスプレッソドリップ
抽出の仕組み圧力をかけて、粉にお湯を短時間で通す(UCC)圧力をかけず、お湯の重みで粉を通して落とす(UCC)
圧力約 9 気圧(UCC・ドトール)かけない
挽き目極細挽き(UCC・キーコーヒー)細挽き〜粗挽き(キーコーヒー)
粉と量粉 6〜12 g で 25〜35 ml(UCC)/粉 7〜8 g で 20〜30 ml 程度(キーコーヒー)粉 約 12 g で 140〜160 ml(UCC)/粉 10 g で 120 ml(キーコーヒー)
時間20〜30 秒(UCC)/15〜30 秒(ドトール)2〜4 分程度が一般的(ドトール)
道具エスプレッソマシンや直火式などの専用の器具(ドトール)ドリッパー・ペーパーフィルター・ケトル(ドトール)

UCC によると、エスプレッソの出来上がりの量は、ペーパードリップのおよそ 5 分の 1 です。粉の量はそれほど変わらないのに、取り出す量が少ないので、濃くなります(表の数字からの編集部の読み)。

もう 1 つの違いは、表面の泡です。エスプレッソの表面には「クレマ」と呼ばれる細かい泡ができます(キーコーヒー)。UCC はこの状態を「乳化」と呼び、ペーパードリップと大きく違う点としています。言葉は「コーヒー用語集」にもまとめています。

挽き目の呼び方と見分け方は「コーヒーの挽き目の目安」にあります。

イタリアの基準では 7 g・25 秒・25 ml

INEI の認証の条件

INEI の認証の条件粉の量7 g ± 0.5 gお湯の温度88 ℃ ± 2 ℃お湯の圧力9 bar ± 1抽出の時間25 秒 ± 5 秒カップの量(泡を含む)25 ml ± 2.5 mlカップの中の温度67 ℃ ± 3 ℃

イタリアの団体「イタリア・エスプレッソ国立研究所(INEI)」は、認証するエスプレッソの条件を数字で決めています。

項目INEI の値
粉の量7 g ± 0.5 g
機械から出るお湯の温度88 ℃ ± 2 ℃
お湯の圧力9 bar ± 1
抽出の時間25 秒 ± 5 秒
カップの量(泡を含む)25 ml ± 2.5 ml
カップの中の温度67 ℃ ± 3 ℃

9 bar は、ほぼ 9 気圧です(編集部の換算。1 bar は約 0.99 気圧)。

この表は、INEI の認証を受けるための条件です。すべてのエスプレッソがこの数字で淹れられているわけではありません。お湯の温度は、資料によって違います。UCC は 92〜96 ℃、ドトールは 91〜93 ℃ を挙げています。上の比較の表で量や時間に幅があるのも、資料によって数字が違うためです。

エスプレッソ用の豆は、焙煎度が決まっていない

焙煎度は 1 つに決まっていない

焙煎度は 1 つに決まっていないUCC の情報誌中煎りと深煎りの中間が理想キーコーヒー中煎り〜極深煎り一部に浅煎りもある「エスプレッソロースト」決まった焙煎度の名前ではなくメーカーが付けた呼び方

エスプレッソは、深めに焙煎した豆で淹れるコーヒーと説明されることが多いです(UCC)。ただ、資料を並べると、焙煎度は 1 つに決まっていません。

  • UCC は、エスプレッソは中煎りと深煎りの中間が理想としています(UCC の情報誌の記事)
  • キーコーヒーは、中煎り〜極深煎り、一部に浅煎りもある、としています
  • UCC の別の記事は、以前は深煎りが一般的だったが、近年は深煎りにこだわらない店も増えている、としています

焙煎度の違いは「浅煎り・中煎り・深煎りの違い」にあります。

「エスプレッソロースト」は商品の名前

袋や商品名の「エスプレッソロースト」は、決まった焙煎度の名前ではなく、メーカーが付けた呼び方です。たとえばスターバックスの「エスプレッソ ロースト」は、ダークロースト(深煎り)に分類されています。同社は、エスプレッソドリンクのベースに使っている豆で、ほかの抽出方法でも楽しめる、と説明しています。業界で統一された定義は、今回の調べでは見つかりませんでした。

ドトールは、焙煎度の名前のうち、イタリアンロースト(最も深い焙煎)が主にエスプレッソに使われる、としています。

ドリップにも使えるか

焙煎の深い豆は、ドリップでも淹れられます。スターバックスの「エスプレッソ ロースト」のように、メーカー自身がほかの淹れ方を案内している豆もあります。

気を付けるのは挽き目です。エスプレッソは極細挽き、ドリップは細挽き〜粗挽きです(キーコーヒー)。豆で買えば、ドリップに合う挽き目に挽けます。粉で買うときは、袋の挽き目の表示と、メーカーがすすめる淹れ方を確かめてから選んでください(編集部の提案)。

家で飲むには、圧力をかける機械が要る

家で飲む方法

家で飲む方法ポンプ式のマシンポンプで圧力をかけるカプセル式専用のカプセルをセット使える豆が限られる直火式(マキネッタ)蒸気の力でお湯を押し上げる構造上クレマはできない
方法仕組み資料に書いてあること
ポンプ式のマシンポンプで圧力をかける全自動は豆を挽くところから自動、セミオートは抽出だけ自動で、挽く・粉を詰めるのは手で(ドトール)。デロンギは、自社のエスプレッソメーカーは抽出時 9 気圧(ポンプ圧 15 気圧)としている
カプセル式専用のカプセルをセットするボタンを押すだけで淹れられるが、使える豆が限られる(ドトール)
直火式(マキネッタ)火にかけ、蒸気の力でお湯を押し上げて粉に通す(AGF)濃いコーヒーは作れるが、構造上クレマはできない(UCC)。イタリアの家庭で多く使われている(UCC)

直火式は、エスプレッソ用の器具として売られています。ただ、UCC はエスプレッソマシンで淹れたときのような細かい泡は作れないとしています。マシンのエスプレッソと同じ物ができる器具ではない、と考えておくと選びやすくなります。

ドリップを濃くしても、同じにはならない

マシンがないとき、ドトールは、濃いめに抽出すればエスプレッソに「近い」味わいを楽しめるとしています。一方で、クレマや乳化は、圧力をかけて淹れるエスプレッソの特徴です(UCC)。ドリップを濃くすれば濃いコーヒーにはなりますが、エスプレッソと同じ物にはなりません。

ミルクと合わせるなら、カフェオレはエスプレッソがなくても、ドリップのコーヒーと温めたミルクで作れます(「家でカフェオレを作る」)。

まとめ

  • エスプレッソは、極細挽きの粉に圧力をかけて短時間で少量を取り出すコーヒー。ドリップは圧力をかけず、お湯の重みで数分かけて淹れる
  • 機械を買う前に試したいなら、まずはドリップを濃いめに淹れてカフェオレにする手がある(編集部の提案)

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出典・確認した資料

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この記事を書いた人

豆派です。家で豆からコーヒーを淹れている会社員で、先生でもバリスタでもありません。手順や数字はメーカーなどの公式資料で確かめてから書き、自分で試したことは「試した」と分けて書きます。

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